クラホス技術担当のナマイです。今回はWindowsサーバのRDS環境を構築してみたいと思います。
■RDSについて
- RDSとは?
RDSとは、Remote Desktop Servicesの略です。
Windowsサーバお使いの皆様は十分ご承知かと思いますが、PCから遠隔にあるサーバのGUIやデスクトップ環境を操作できる機能です。
詳しくは以下のMicrosoft公式ページをご参照ください。
http://technet.microsoft.com/ja-jp/library/cc725560.aspx
では、何故いまさらRDSの話なのか?
BIGLOBEクラウドホスティングはWindowsサーバをSPLAでご提供しておりますが、この場合、Windowsサーバへのリモートデスクトップ接続には以下の制限があります。
・最大同時接続数は2まで
・サーバへのリモートデスクトップ接続はサーバの管理・保守用途に限る
『WindowsサーバでWebサービスを構築する』といった利用方法であれば特に問題にはなりませんが、『Windowsサーバにアプリケーションをインストールし、複数のユーザが共有してリモートデスクトップ接続し利用する(→いわゆる、仮想デスクトップ環境のような使い方)』といった場合には、今回お話するRDSの仕組みは必要不可欠になります。
- RDSの構成要素
ではRDS環境を構築するためにはどうしたら良いのか?
実際の構築手順に移る前に用語を整理しておきます。
・RDセッションホストサーバ・・・リモートデスクトップする先のサーバ
・RDライセンスサーバ・・・ユーザがRDセッションホストサーバに接続するために必要なRDライセンスの管理をするサーバ
最低限、上記2つの環境を用意する必要があります。
RDライセンス設定済みのRDライセンスサーバと、RDセッションホストサーバとを紐付けて設定することで、RDセッションホストへの複数同時リモートデスクトップ利用が実現可能となります。
画にするとこんな感じでしょうか。
ただ、RDライセンスを購入したり、RDライセンスサーバをセットアップするのはいくつかの手続きが必要となり面倒だと思います。
そこで、BIGLOBEクラウドホスティングではRDS環境の構築を簡単にする手段として、クラウドアプリストアより、RDライセンス設定済みのRDライセンスサーバをボタン1つでご購入いただけるよう準備しています。今回はこちらを使って、具体的にRDS環境を構築する手順を追っていきたいと思います。
■RDSの構築手順
- 作業の大まかな流れ
まず最初に作業の大まかな流れを見ておきます。①クラウドアプリストアよりRDライセンスサーバを購入します。
②リモートデスクトップしたい先のサーバを、RDセッションホストサーバとしてセットアップします。
③②で設定したRDセッションホストサーバのライセンス参照先として、①で購入したRDライセンスサーバを指定します。
④コントロールパネルにて、当月使用するライセンス数(利用者総数)を設定します。以降でこの流れに沿って、RDS環境を構築していきたいと思います。 - 今回サンプルで作る構成
・RDセッションホストサーバ1台・・・Windows2012 R2 Standard Edition(サーバ名:rdshost02 とします)
・RDライセンスサーバ1台・・・Windows2012 R2 Standard Edition(サーバ名:rdstest01 とします)
・WORKGROUP環境
※Windows2012でRDS環境を構成するにはActiveDirectory環境であることが推奨されていますが、今回は手順を簡略化するためにもWORKGROUP環境とします。
※RDセッションホストサーバとRDライセンスサーバは、同一サーバ上に構築することも可能ですが、今回は分かりやすくするためにサーバを分けることにします。
- 事前準備
まずはRDセッションホストサーバとして、Windows2012のサーバをコントロールパネルより作成しておきます(こちらの手順は割愛させていただきます)。その後、RDセッションホストサーバへのリモートデスクトップ同時セッションの許可設定をします。RDセッションホストサーバへログインし、Powershellを起動して以下のコマンドを実行します。
> gpedit.msc
ローカルグループポリシーエディタが開きますので、以下のとおり辿っていきます。
「ローカルコンピューターポリシー」→「コンピューターの構成」→「管理用テンプレート」→「Windowsコンポーネント」→「リモートデスクトップサービス」→「リモートデスクトップセッションホスト」→「接続」「リモートデスクトップサービスユーザに対してリモートデスクトップサービスセッションを1つに制限する」という項目がありますので、右クリック→編集で”無効”にします。
お使いのPCがWindowsの場合には、「リモートデスクトップ接続」アプリを複数立ち上げて、現在ログイン中のRDセッションホストサーバに接続してみます。
3つ目の接続で以下のとおりのダイアログが表示され、リモートデスクトップの同時接続が2つまでしか出来ないことが確認できました。
- クラウドアプリストアよりRDライセンスサーバを購入
クラウドアプリストアよりRDライセンスサーバを購入します。「Microsoft Windows Server 2012 R2 リモートデスクトップ接続(RDS)サーバ」を選択し、購入へ進みます。
コントロールパネルへ遷移しますので、サーバ名を入力し、確認→完了と進みます。
これでしばらくすると、RDライセンスサーバが作成されます。
- RDセッションホストサーバの設定
続いて、RDセッションホストサーバの設定です。
RDセッションホストサーバのサーバーマネージャーより「役割と機能の追加」をクリックして、RDセッションホストの役割をインストールしていきます。
今回、Windows2012のWORKGROUP環境のため、やや特殊なやり方でインストールしていますが、以下のキャプチャに従って、ダイアログを進めていきます。
これでインストールが出来ました。RDセッションホストサーバが再起動するのを待ちます。次に、RDセッションホストサーバのライセンスモード設定、および、ライセンスサーバの設定をしていきます。※2015/03/12 追記
追記時点で確認しましたところ、RDセッションホストサーバ再起動後は、ライセンスの構成が正しく設定されていないためか、リモートデスクトップが出来なくなってしまいます。よって以降の手順については、コンソール接続にて実施していただけますようお願いいたします。手順冒頭でも実施しました、ローカルグループポリシーエディタ(gpedit.msc)を起動し、
「ローカルコンピューターポリシー」→「コンピューターの構成」→「管理用テンプレート」→「Windowsコンポーネント」→「リモートデスクトップサービス」→「リモートデスクトップセッションホスト」→「ライセンス」と辿っていきます。
「指定のリモートデスクトップライセンスサーバーを使用する」を右クリック編集で、”有効”を選択し、使用するライセンスサーバーはクラウドアプリストアにて購入したRDライセンスサーバのIPアドレスを指定します。
※RDセッションホストサーバとRDライセンスサーバを同一サーバ上で構築する場合には、使用するライセンスサーバーの欄に「localhost」と入力してください。
「リモートデスクトップライセンスモードの設定」を右クリック編集で、”有効”を選択し、RDセッションホストサーバーのライセンスモードを”接続ユーザー数”にします。
これでRDセッションホストサーバの設定は完了しました。ライセンス診断ツールを起動して、RDS環境が正常に動作しているかどうかを確認してみます。
ライセンス診断ツールは、サーバーマネージャーから「リモートデスクトップサービス」→「サーバー」と選択し、表示されたサーバー名を右クリックして「RDライセンス診断機能」を選択します。
RDライセンス診断機能が起動しましたが、ライセンスサーバーの管理者の資格情報が必要です、と表示されています。
※この現象はRDセッションホストサーバとRDライセンスサーバが同一サーバの場合には発生しませんでした。画面下部のライセンスサーバーを選択し、画面右側の操作より、「資格情報の入力」を選択します。
ユーザー名、パスワードの入力ダイアログが出ますので、RDライセンスサーバーのAdministrator/パスワードを入力します。
RDライセンス診断機能にて、問題が検出されませんでした表示になります。
※2015/03/12 追記
ここでサーバを再起動しますと、以降はリモートデスクトップが出来るようになります。 - RDライセンス数の設定
次にコントロールパネルよりライセンス数の設定を実施します。
コントロールパネルログイン後、左メニューより「ライセンスサーバ一覧」を選択します。
変更ボタンをクリックし、当月に必要なライセンス数(利用者総数)を設定して、確認→完了と進みます。
※ここのライセンス数設定は当月内のみ有効となります。当月中に数値の入力・変更をお願いいたします。変更しなかった場合は、入力済の数値が継続となります。
- 設定したライセンス数だけRDP同時接続ができることの確認
RDS環境の構築は完了しました。
最後に、再びご利用のPCから「リモートデスクトップ接続」アプリを複数立ち上げて、RDセッションホストサーバに接続していきます。
今回、コントロールパネルにてライセンス数を5に設定しましたが、同時接続数が3を超えても、問題なく接続できることが確認できました。以上となります。少し手順が長くなってしまいましたが、操作としては単純ですので、是非今回の手順をご参考にRDS環境を構築してみてください。
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